FAMILY ARCHIVE · NAKAMURA FAMILY COLLECTION
家族資料
家族資料が示すのは経歴だけではない。中村陽子の造形言語が発生した、物質と生活の環境そのものである。

ものをつくる家に生まれる
中村陽子は、模型をつくることを家業とする家に育った。素材、道具、陳列、衣服、手でつくられた物は、生活の外にある贅沢品ではなく、日常を構成する物理的な文法だった。後年の作品に反復される器、布、装飾、植物、構築物は、この初期環境と接続して読むことができる。
美の収集から、空間の飽和へ
中村陽子にとって、集めることは制作の外部ではなかった。絵画、陶芸、書、布、器、植物、玩具、古い道具が住居へ入り、新たな作品と相互に作用した。晩年には、その物量が分類と保管の容量を超え、収集、制作、生活の境界はほとんど失われた。美の世界を組み上げる力と、その世界が空間を覆い尽くすまで増殖する力は、同じ一つの運動として現れている。
作品だけでなく、環境を記録する
したがって本アーカイブが記録するのは完成作品だけではない。家族写真、生活資料、アトリエの状態、陶芸、書、ノート、作品が蓄積した環境も、制作系を成立させた証拠として保存する。混乱を美化するのではなく、一つの世界が形成され、やがて解体・散逸へ向かうまでの全過程を記録する。
写真の撮影年、撮影地、人物名は、裏書、家族証言、関連資料によって根拠が確認できた場合にのみ確定情報として掲載します。