アトリエに遺された絵画
中村
陽子
生活の圧力を、色彩と形と美へ変換し続けた画家。
1934.11.08 — 2026.06.24
01
美を、生存技術として
美は装飾や慰めではなく、生活の圧力を力へ変換する方法だった。
02
身体を、エネルギーの器として
人物は熱、重量、怒り、気品、持続する意志を保持する器へ組み替えられる。
03
色彩を、構造として
色は対象を説明する属性ではなく、身体、植物、布、都市、記憶を一画面へ接続する構造材となる。
04
生涯にわたる造形実験
絵画、陶芸、書、装飾、象徴構成を横断し、ひとつの様式へ自らを閉じなかった。
COLOUR AS STRUCTURE
色彩が、画面の構造になるまで
黄土、群青、深緑、赤からなる強い色彩回路は早い時期から存在していた。しかし制作が進むにつれ、色は対象を着色する属性ではなく、画面全体を組織する構造材へ変わっていく。
年記のある《手と眼の曼荼羅》(1973年)には、すでに原色と幾何学による象徴言語が現れる。《回転する殻のなかの身体》(2014年8月)では、身体、貝殻、海、曲面の帯が一つの循環構造へ統合されている。
制作年不詳の作品が多いため時系列は暫定的である。それでも年記作品と家族の記憶を重ねると、晩年に色彩を獲得したのではなく、生涯を通して内在していた装飾的・象徴的な回路が次第に全面化したことが見えてくる。
ATELIER ESTATE · 60 WORKS
選抜作品
本カタログでは、アトリエから回収された絵画・紙作品60点を記録しています。



